第21回 とにかく、事が起きたら弁護士
このことは、日本に進出してくるアメリカ企業に、僕はずいぶんサジェスチョンしてきたつもりだ。
だが、書類一辺倒の米国企業の体質が変わらぬかぎり、日本企業と僕のような関係を結べるアメリカ企業は少ないと思われる。
むしろ逆に、日本的な美徳を踏みにじり、契約モレにつけ入ろうとするアメリカ企業すら、ないとはいえない。
アメリカ社会の一端を示す事件がある。
チアリーダーになりたいという17歳のハイスクールの女生徒がいた。彼女のバストはかなり大きく、他の女学生とのつりあいがとれないという理由で外される事件がおきた。この女学生はすぐさま弁護士を探し、学校側を相手どって100万ドルを請求する訴訟をおこしたという。
17歳の高校生である。そして、それを引き受ける弁護士がいる。
アメリカでは、社会的規範によって判断するという習慣がないから、何かというと明文化された法律に照らし合わせて自己を守ろうとする。それだけに弁護士の数もやたらと多いのだが、考えてみると、法以外に信頼するものを持たぬ可哀そうな国民、と言うことができるかもしれない。
とにかく、事が起きたら弁護士。これがアメリカ社会であることを、日本企業も肝に銘じておいてもらいたいものだ。