コラム

クジラの世渡り

第61回 十八番のジョークをもってはいかが

さて、カクテルパーティーであれハウスパーティーであれ、何よりの肴は会話である。日本人はとかくジョークが苦手だ。だが、日本文化のたまもの、あのカラオケを思い出していただきたい。

「部長、例のやつ、やってくださいよ」

「よ、出ました!」

などと拍手喝采をあびる十八番(おはこ)というのが、誰しもあるものだ。同じようにジョークの一つや二つ、十八番をつくっておくのも手ではある。パーティーの顔ぶれがいつも同じというわけではないのだから、得意のジョークを一つ仕入れておいて、パーティーとなればそれを披露すればよいのである。

もうすっかり知れ渡って一つじゃ乗り切れない、という方には、ジョーク集なる本を読んで覚える方法もある。あるいは、ネタぎれになるほどパーティー経験があるのなら、他人のジョークに触れる機会も多いはずだから、ちゃっかり盗んじゃうのも悪くはない。日本人をネタにしたジョークも、日本人のあなたが言えばウケることまちがいなしだ。誰をも傷つけず、しかも自己批判すらできる心の大きい日本人と見てもらえるメリットもある。

でも、ジョークのレベルがどうも不安でね、という向きもあるだろう。これは、もう場数を踏むしかない。パーティー出席者どうしの親密度によっては下ネタが飛び出したっておかしくないからだ。日本人がバーでホステス相手にしかそのテの話をしないのと違って、アメリカでは昼食会で、しかも女性の出席者がいても、下ネタのジョークが平気で登場することもある。その点では、かなりアメリカはススんでいるのだ。

もっとも外国人である日本人が下ネタのジョークの口火を切るのは避けたほうがよいだろう。英語を母国語としない人が発する四文字言葉フォーレターワーズは聞き苦しいことがよくあるし、その人の教養をうたがわれたりすることもあるのだ。そして、いくら親しくても下ネタはやらないほうがいいという場合もある。年配者の多いパーティーでは、まずやめといたほうが無難。そして、お察しの通り、教会関係者が集まっているときもやっぱりタブーだ。いくらアメリカでも、そこまでは……ちょっとね。

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